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デザインの目標

デザインの効用、リニューアルは意識の持ち方が大切

デザインを変えれば客が集まる? お客様はそんなに単純じゃありません。
ホームページのリニューアルも同じことがいえます。デザインを変えたり、化粧直しをすれば反応が向上するということはありません。
ポップ系だの、グランジ系だの、あるいは女性向け、若者向けといった、使い古された観念的な顧客像でデザインを考えると、実在するお客様の姿を見失います。livedoorさんの「コンテンツ運用で陥りがちな「想像と現実のギャップ」とその対策」を参考にしてみてください。

かつて「CI」が流行りました。もっともCIそのものより、CIをするという話題作りでしたが。CIとなると最終的に経営陣の承諾が必要です。電通さんの営業力とメディア支配力によるキャンペーンがなければ、とても不可能でした。
もちろん、CIでは製品や企業にふさわしいロゴ・マークが求められているのであって、ロゴ・マークをリニューアルするだけで、何か新しいことが始まることはありません。
旧ダイエーのDを象ったマーク(ロゴじゃないですよ)、三菱のスリーダイヤ(三階菱くずし?)は、デザイン面から最高傑作の一つです。二人の創業者、デザインに対する意識の持ち方は高いといえます。

ロゴの変遷

日航が民営化した時、それまで馴染み深かった鶴丸のマークを廃止して、ランドーアソシエイツに新しいロゴとマークを依頼しました。時間もなかったと思うのですが、なんかいい加減に作ってるなという印象でした。
その後の放漫経営による破綻を見ると、先行きを象徴したようなデザインだったかもしれません。結局鶴丸マークに戻しましたが、ランドーアソシエイツににいくら払ったんだろう。

ついでに言っておきますが、ロゴは社名や商品名をデザインしたもの、マークとは異なります。正確にはロゴタイプ(logotype=単語に組んだ活字)と、シンボルマーク(キリスト教の十字架が代表例)です。ロゴは、あくまでも文字です。読めないのは、ロゴの要件を満たしていません。
スターバックスのロゴ・マークの変遷を見ると、次第に文字から離れているようです。でも、ロゴとマークが同質化するのは、スターバックスがブランディングを確立したから可能なことなのです。
ロゴとマークは通常組み合わせて使うので、ロゴ・マークといいます。ロゴ+マークであって、ロゴマークという用語はありません。

ロゴに関する興味深い一文がありました。アップル創業者スティーブ・ジョブズの逸話です。
 ……「マークラが教えてくれたように、人は表紙で書籍を評価する。だから、第一印象からその価値を刷り込めなければ偉大な会社にはなれない。それに、できあがったロゴはとてもクールだった」さらに ……「(ロゴは)ビジネスの問題を上手に解決する」という個所は、ことに重要かと思います。
結局このNeXTプロジェクトは失敗に終わってしまいました。ロゴに10万ドルも支払ったのに、ビジネスの問題を解決することはできなかったのです。何がいけなかったのか、スティーブ・ジョブズも間違えることがあります。そう、根本的な間違いはNeXTがワークステーションだったことなのです。
デザインはクールだった。プロダクトデザインも、ロゴも。でもプロモーションはクールじゃなかった。それにNeXTは詰め込み過ぎでした。
名刺の件に関しては、スティーブ・ジョブズに双手を挙げて賛成です。ポール・ランドは活字から抜け出ることができなかった。(詳細は著作権の関係で書けないので、講談社刊:ウォルター・アイザックソン著:井口耕二訳〈Steve Jobs〉をご覧ください)

しかし、このロゴを初めとしたデザインに対する姿勢は受け継がれ、やがてiMac、iPhone、iPadの成功へと結びつきます。アップルの成功は偶然でも、時流に乗ったからでもありません。創立当初からぶれないブランディングへの希求が結実したものです。

チラシデザインで失敗した中堅スーパーの例

近所に地元資本の食品スーパー(○○フード)がありました。20年前のことです。当時その1店しかなかったので、そこそこ繁盛していました。
人口の増加により、10年ほど前、近辺に首都圏で展開しているスーパー(○○○マート)が出店しました。売り場面積は4倍ほどあります。
私の目から見て、新規の店は決して品揃えも良くなく(特に生鮮3品のうち魚介類がまるで駄目です)、旧来からある店にとっては、それほど脅威にならないのではないかと感じていました。

しかし、前からあったスーパーが妙なことをやるようになりました。どういうつもりか、チラシのデザインを毎週のように変え始めたのです。

新規開店の店は最初に急激に売り上げがあり(開店セールのため)、通常のプロパー商品に移るとしばらく低迷します。その後緩やかに上昇して、ある時点で安定します。

初めにあった店が、新規開店によって流れた客(落ちた売り上げ)を取り戻そうとした時、品揃えでも値付けでも引けを取らないはずなのに、売り上げが落ちるのは、チラシに誘引力がないためだ、とでも思ったのでしょうか。
あるいは、仕入れ担当者などが責任を転嫁するため、チラシのせいにしたのかもしれません。意識的とは限りません。自分の店の欠点は見えにくいものですから、外部の印刷会社などに責任を押し付けやすい心理が働きます。

毎回毎回、目先を変えなくてはならないので、印刷会社もデザイナーも次第にネタが尽きてしまいます。その結果統一がとれなくなり、デザインのクォリティーはどんどん落ちていきました。
結局、いままでせっかく培ってきた店独自のカラーが失われました。目に見えるものだけに、一貫性のなさは店の周章狼狽ぶりを客にさらす結果になったのです。

まもなく、その店舗は食品の安売り店に売却されました。潰れたのにはその他の要因があり、最も大きいのは、売り場面積が中途半端なのと後背地の人口ではないかと私は推測します。(路面店にとって大事なのは人通りや交通量ではありません。道路は客を招くよりも、流れを阻害することが多いのです)

デザインにはいろいろな役割があります。特に訴求力を要求されるチラシでも、何の定見もなくビジュアルインパクトのみを求めて、いじりすぎることの恐ろしさを分かっていなかった悲劇です。
実際そこの本部の担当者が、うちは4Cカラーのチラシでないから駄目なんだと、言っていたということを聞きました。色数が増えれば客数も増えるわけないじゃないですか。デザインが物を売っているのではないという、客観的なアドバイスをする人もあったと思いますが、聞く耳持たなかったのですね。

■ここから先は余談です……

やや離れた所にダイエーがありました。本当に品揃えが悪かったし、店員に覇気が感じられません。パートのレジ係の人が「この店で買う気がしない」と言ってたほどです。店長クラスより、パートのおばさんの方が、よほど正確に現状を認識していました。
退店する際の持ち物検査ばかり、やたらと厳重にしたりとか、メチャクチャなことをやっていたそうです。パート全員万引き常習者扱いですよ。店員のモチベーション下がるわけです。
だいたい創業者が、兄を騙したり小ずるく立ち回って、第2次大戦後の闇市発祥の店を大きくしたという経緯があります。他人を信用できない、疑心暗鬼が染み付いた体質だったのでしょう。

三菱グループもそうです。坂本龍馬亡き後、海援隊と土佐藩の船を手に入れて、徳川幕府に比べ海運力のなかった、薩長明治政府に取り入ったのが始まりです。その後海運業から転じ、富国強兵の政策を利用して軍需産業で肥大したのです。これも明治維新後のゴタゴタに乗じたわけです。
舟の印は、土佐藩九十九商会から自らの三菱商会設立(体のいい乗っ取り)時に、それまで主君山内家三ツ柏紋であったものを、岩崎家三階菱紋に置き換えたようです。

世の中から詐欺商法がなくならないように、阿漕なやり方でも商売は発展できます。むしろ、自分が違法すれすれなことを自覚していますから、ますます巧妙なやり口になります。
なまじ最初にうまくいってしまうと、成功体験から離れられないものです。別の方法に目がいきません。例えは悪いのですが、犯罪者の場合、必ず同じやり方を繰り返す《手口》となります。

他を顧みない利己的な、金儲け第一主義の卑しさは、企業体質として引き継がれます。創業者の心掛けが、後々まで影響を持ち、企業風土となるのです。ダイエーは倒産しましたし、三菱自動車・三菱重工(政府肝入りMRJ)の現状を見れば納得できるのではないですか。

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